要点まとめ
- ドライアイ(dry eye disease)は、目の表面のさまざまな要因が絡み合って起こる病気で、目の手術をはじめとする医療行為によって生じたり、悪化したりすることがあります[1]。
- まぶたの手術は、まぶたの働きや涙液層の広がり方を機械的に変えることで、ドライアイに影響しうる手術のひとつに挙げられています[2]。
- 上まぶたの手術に関する研究を集めた2023年のシステマティックレビューのメタアナリシスでは、涙の検査やドライアイの質問票を含む指標で有意な結果は得られませんでしたが、影響を報告した個別の研究は多くありました[3]。
- 医療行為によって起こるドライアイを減らすには、施術前の体系的な目の表面の評価、患者さんへのカウンセリング、組織へのダメージを最小限にする手技が必要だとまとめられています[2]。
- まぶたの手術と視力矯正手術の両方を予定している場合は、まぶたの手術から十分に回復し、屈折とまぶたの位置が安定してから視力矯正手術を受けるよう推奨されています[4]。
まぶたの手術とドライアイにはどのような関係がありますか
ドライアイは、ひとつの原因で起こる病気ではなく、目の表面のさまざまな要因が絡み合って起こる病気であり、さまざまな医療行為、特に目の手術によって生じることがあります[1]。2020年のレビューは、美容目的のまぶたの手術(cosmetic blepharoplasty)がドライアイを引き起こしたり悪化させたりする場合を個別にまとめ、術後のドライアイを減らし、予防する方法に焦点を当てました[1]。
医療行為によって起こるドライアイ(iatrogenic dry eye disease)は、涙液層のバランスが崩れ、目の表面に炎症が起こり、知覚神経の働きに異常が生じることが特徴で、施術の後に急に現れることも、長く続くこともあります[2]。2026年のレビューは、この状態が眼科の手術と美容医療の両方で重要でありながら、見過ごされてきた合併症だと指摘しています[2]。
このレビューは、まぶたの手術を含む目元の形成手術が、まぶたの働きや涙液層が均一に広がる仕組みを機械的に変えることがあると説明しています[2]。まばたきのたびにまぶたが涙を目の表面に行き渡らせているため、手術でまぶたの形や位置が変わると、この働きに影響することがあるという意味です。
研究で確かめられていることと、まだ不確かなこと
上まぶたの手術が角膜、眼圧、ドライアイ、見え方の質に影響すると報告した研究は多くあります[3]。2023年のシステマティックレビューは20件の研究を検討し、そのうち9件でメタアナリシスを行い、シルマー試験(Schirmer test)、涙液層破壊時間(tear film break-up time)、眼表面疾患の質問票(OSDI)などを手術の方法別に整理しました[3]。
その結果、メタアナリシスでは有意な結果は得られませんでした[3]。著者らは、それでも多くの研究がこれらの指標に対する手術の影響を報告していること、報告された合併症は少なく、患者さんは見た目の結果に満足していたことをあわせてまとめています[3]。つまり、上まぶたの手術がどの程度ドライアイを引き起こすのかについては、まだはっきりとした結論が出ていない状態です。
この記事で参考にした論文の要旨には、まぶたの手術の後にドライアイがどのくらいの頻度で起こるのかを数値で示した資料はありませんでした。2020年のレビューは発生頻度を扱うと述べていますが、論文の要旨には具体的な数値は掲載されていません[1]。
手術後の時期ごとに起こりうる目のトラブル
まぶたの手術の後に起こる問題は、見た目の問題、機能の問題、不快感や症状の問題に分けることができ、これらが同時に現れることもあります[5]。目がしみる感じや乾いてごろごろする感じ、続く涙目は、回復の過程だと決めつけずに、診察で確認することをおすすめします。
まぶたの手術の合併症は、皮膚の変化から視力を脅かす緊急事態まで幅広く、一部は丁寧な術前の評価と手術の手技によって予防できると説明されています[6]。あるレビューは、合併症をよく現れる時期によって次のように分けています[6]。
- 術後最初の1週間:角膜の擦り傷(corneal abrasion)、視力を脅かす眼球の後ろの出血
- 1〜6週:上まぶたと下まぶたの位置の異常、斜視、角膜の露出(corneal exposure)、流涙(epiphora)
- 6週以降:まぶたの高さや形の変化、左右差、傷跡、長引く腫れ
手術の前から目が乾きやすい場合
2026年のレビューは、ボツリヌストキシン注射やアートメイクのアイラインといった目元の美容施術が増えるにつれ、特にマイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction)がある方や、涙の機能が境界域にある方でリスクが高まっていると説明しています[2]。また、繰り返し受けた施術の影響の積み重なりや、不十分な施術前の検査が、長引く目の表面のトラブルの増加につながったという根拠が示されつつあると述べています[2]。
そのためこのレビューは、施術前の体系的な目の表面の評価、患者さんへのカウンセリング、組織へのダメージを最小限にする手技を、予防の要として挙げています[2]。普段から目が乾きやすい場合は、そのことを手術の前に伝えることが第一歩です。
下まぶたの手術では、目尻を固定して下まぶたを支える方法(canthal suspension)が合併症の予防に用いられ、下まぶたがゆるんでいる場合や、眼球が比較的前に出ている場合に特に意味があると説明されています[7]。ただし、眼輪筋を吊り上げる方法(orbicularis sling)は、ドライアイの既往がある場合には適さないことがあると述べられています[7]。
視力矯正手術もあわせて予定している場合
レーシックのような角膜の屈折矯正手術の後には、ドライアイがよくある不快な症状として挙げられます[4]。この症状は、下まぶたが外側にめくれる外反症(ectropion)、目が完全に閉じない兎眼(lagophthalmos)、甲状腺眼症といったまぶたや眼窩の病気があると、より重くなると説明されています[4]。
まぶたの手術は角膜の形や屈折にも影響することがあり、眼瞼下垂の矯正やまぶたの手術の後に乱視が変化することがあると報告されています[4]。レビューの著者らは、眼瞼下垂の矯正のような目元の形成手術を受ける場合は、視力矯正手術の前に完全に回復し、屈折とまぶたの位置が安定するようにすべきだとすすめています[4]。
カウンセリングで確認したいこと
ドライアイのリスクは、もともとの涙の状態、まぶたの構造、これまでに受けた目の手術や施術によって人それぞれ異なります。施術前に目の表面の状態を評価し、リスクについて相談することが、予防の出発点として示されています[2]。次の内容を診察の際に話してみてください。
- 普段から目がごろごろする、しみるといった症状があるか、ドライアイの診断や治療を受けたことがあるか
- レーシックやラセック(LASEK)などの視力矯正手術を受けたことがあるか、予定しているか
- ボツリヌストキシン注射、アートメイクのアイラインなど、目元の施術を受けたことがあるか
- 甲状腺眼症など、まぶたや目の周りの病気があるかどうか
- 術後に乾燥の症状が出たときの診療の計画
よくある質問
- まぶたの手術の後に目が乾くことは、よくあるのですか?
- この記事で参考にした論文の要旨には、発生頻度を数値で示した資料はありませんでした。上まぶたの手術に関する研究を集めたメタアナリシスでは、涙の検査などで有意な結果は得られませんでしたが、個別の研究の中には影響を報告したものが多くありました[3]。リスクは人によって異なるため、手術の前に目の状態を確認することをおすすめします。
参考文献
- Zhang SY, Yan Y, Fu Y. Cosmetic blepharoplasty and dry eye disease: a review of the incidence, clinical manifestations, mechanisms and prevention. Int J Ophthalmol. 2020.PubMed 32309188DOI
- Taşkıran Çömez A. Unseen Consequences: The Expanding Burden of Iatrogenic Dry Eye Disease in Surgical and Cosmetic Practice. Turk J Ophthalmol. 2026.PubMed 42343584DOI
- Rodrigues C, Carvalho F, Marques M. Upper Eyelid Blepharoplasty: Surgical Techniques and Results-Systematic Review and Meta-analysis. Aesthetic Plast Surg. 2023.PubMed 37430010DOI
- Denisova K, Barmettler A. Oculoplastic considerations for refractive procedures. Curr Opin Ophthalmol. 2020.PubMed 32487809DOI
- Mack WP. Blepharoplasty complications. Facial Plast Surg. 2012.PubMed 22723228DOI
- Lelli GJ Jr, Lisman RD. Blepharoplasty complications. Plast Reconstr Surg. 2010.PubMed 20195127DOI
- De Silva DJ, Prasad A. Aesthetic canthal suspension. Clin Plast Surg. 2015.PubMed 25440744DOI
この記事は、DOY JUN美容外科が海外の学術誌に掲載された論文の要約(抄録)をもとに韓国語でまとめた一般的な健康情報を、翻訳したものです。治療方法や結果は個人の状態によって異なるため、正確な診断と治療計画は専門医へのご相談でご確認ください。




