要点まとめ
- シリコンインプラントは、アジアの国々で鼻筋を高くする鼻整形に最も広く使われている材料として紹介されています[1]。
- アジア人の鼻は鼻筋が低く、鼻中隔軟骨が少なく、軟部組織が厚い場合が多いため、それに合わせた鼻筋の補強方法が発展してきました[2]。
- 欧米では感染やインプラントの露出への懸念から人工の材料の使用をすすめないことが多く、シリコンの合併症の割合は、経験、手技、インプラントのデザインによって大きく異なります[1]。
- 鼻筋の補強では自家軟骨が今も標準と考えられており、複数の材料を組み合わせる方法も用いられています[3]。
- どの材料にも長所と短所があるため、皮膚の状態や鼻の構造、希望する結果をもとに、専門医と一緒に選ぶ必要があります[4]。
シリコンインプラントによる鼻整形とはどのような手術ですか
鼻筋を補強する鼻整形(dorsal augmentation rhinoplasty)は、鼻筋が低いことによって生じる見た目と機能の問題を扱う手術で、さまざまな手術方法や材料が用いられます[4]。そのうちシリコンインプラントは、あらかじめつくられた人工の材料を鼻筋に入れて高さを出す方法です。
アジアの国々では鼻筋を高くする鼻整形はよく行われる美容手術で、シリコンインプラントが最も広く使われている材料として紹介されています[1]。アジアで長年よい結果を経験してきたことが、シリコンを用いた鼻整形が広く行われている背景として説明されています[1]。
アジア人の鼻でインプラントが多く使われてきた理由
アジア人の鼻は一般に、鼻筋が低く、鼻中隔軟骨が少なく、それを覆う軟部組織が厚いという特徴があるとまとめられています[2]。鼻中隔軟骨が少ないと、鼻筋を高くするのに使える自家の材料が足りないことがあるため、あらかじめつくられたインプラントが多く使われてきました。
人工のインプラントは、今もアジア人の鼻整形で広く使われています[3]。ただし東アジアの鼻整形は、新しい美的な基準や手技、改良された材料が登場したことで、鼻の内側の切開から人工のインプラントを入れていた従来の方法から変わりつつあると説明されています[5]。
欧米で慎重な理由:感染と露出
人工の材料には利点がありますが、欧米では、感染や、インプラントが皮膚の外に出てくる露出(extrusion)のリスクから、鼻整形に人工の材料を使わないようすすめることが多くあります[1]。こうした地域による違いは、リスクをどう判断するかによって、同じ材料でも評価が変わりうることを示しています。
シリコンインプラントの合併症の割合は、執刀医の経験、手術の手技、インプラントのデザインによって大きく異なるとまとめられています[1]。レビューは、注意点を守ればシリコンを鼻筋の補強に用いることができると考えており[1]、別のレビューも、患者さんと医師の双方が関連するリスクを理解していれば、人工のインプラントを鼻筋の補強に使えるとまとめています[4]。リスクがなくなるという意味ではないため、手術の後も異常のサインに注意することが大切です。
ほかの材料と比べるとどうですか
鼻筋を高くする材料は、大きく3つに分けられます[4]。材料ごとに特性や用途、安全性が異なるため、長所と短所をあわせて検討する必要があります[4]。
鼻筋の補強では自家軟骨が今も標準と考えられており、複数の材料を組み合わせると、結果を改善しながら合併症を減らせるとするレビューがあります[3]。アジア人の鼻筋の補強を扱ったあるレビューの著者らは、肋軟骨や、細かく刻んだ軟骨を筋膜で包んだ移植のように自家組織を用いる方法が、人工のインプラントよりおおむね結果、安全性、持続性の面で優れていると考えていますが、これは著者らの見解として示されたものです[2]。人工の材料の中では、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)もアジア人の鼻整形で使われることが増えたと紹介されています[5]。
- 自家組織:鼻中隔軟骨、耳介軟骨、肋軟骨、骨、軟部組織
- 同種組織と代替材料:放射線処理をした、または処理をしていないドナー肋軟骨、無細胞真皮
- 人工のインプラント:シリコン、ePTFEなど
鼻先や鼻の周りもあわせて見る理由
鼻筋だけを高くするよりも、鼻先や顔全体との調和をあわせて考える方向が重視されています。東アジアの鼻整形の最近の流れとして、鼻筋の補強とあわせて、自家軟骨を用いた鼻先の手術が紹介されています[5]。
鼻の下にある上あごの前側の部分(premaxilla)がくぼんでいる場合は、鼻と唇の間の角度が狭くなり、鼻先が下がって見えることがあり、軽い場合には人工のインプラント、自家組織、脂肪注入、フィラーで補えるとまとめられています[6]。鼻筋のインプラントだけでは希望する印象が得にくい場合もあるため、鼻の周りの構造まであわせて診察を受けることをおすすめします。
カウンセリングで確認したいこと
アジア人の鼻筋の補強では、皮膚の質、解剖学的な構造、希望する結果といった個人の要因に応じて方法を決める、一人ひとりに合わせたアプローチが強調されています[2]。術前の評価で、目標が適切かどうかを一緒に確認することが大切です[2]。
- 皮膚の厚さと鼻筋の高さ、鼻中隔軟骨の量
- シリコン、自家軟骨、材料の組み合わせのうち、どの方法をすすめるのかとその理由
- インプラントの形と大きさ、鼻先の手術をあわせて行うかどうか
- 感染、露出など合併症の可能性と、異常のサイン
- 問題が起きたときのインプラントの抜去や再手術の計画
よくある質問
- シリコンインプラントは、一度入れればずっと持ちますか?
- この記事で参考にした論文の要旨には、シリコンインプラントがどのくらいの期間問題なく持つのかを数値で示した資料はありませんでした。アジアで長年よい結果が積み重ねられてきたという説明はありますが[1]、感染や露出といったリスクもあわせて挙げられているため、手術の後も経過を確認することをおすすめします[1]。
- シリコンと自家軟骨では、どちらがより安全ですか?
- 自家軟骨は鼻筋の補強の標準と考えられており[3]、一部の著者は、自家組織のほうが人工のインプラントよりおおむね優れていると考えています[2]。一方で、注意点を守ればシリコンも鼻筋の補強に使えるとするレビューもあります[1]。材料ごとに長所と短所があるため、ご自身の鼻の状態とリスク要因をあわせて考えて決める必要があります[4]。
- インプラントの合併症のリスクは、何によって変わりますか?
- シリコンインプラントの合併症の割合は、執刀医の経験、手術の手技、インプラントのデザインによって大きく異なるとまとめられています[1]。術後に赤み、強くなる痛みや腫れ、インプラントが透けて見えるといった変化があれば、すぐに診察を受けることをおすすめします。
参考文献
- Kim IS. Augmentation Rhinoplasty Using Silicone Implants. Facial Plast Surg Clin North Am. 2018.PubMed 30005785DOI
- Frederick JW, Yoo DB. Asian Augmentation Rhinoplasty. Facial Plast Surg. 2025.PubMed 40389234DOI
- Ho OYM, Ku PKM, Tong MCF. Rhinoplasty outcomes and trends. Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2019.PubMed 31232719DOI
- Fisher M, Alba B, Ahmad J, et al. Current Practices in Dorsal Augmentation Rhinoplasty. Plast Reconstr Surg. 2022.PubMed 35259145DOI
- Li D, An Y, Yang X. An Overview of Asian Rhinoplasty. Ann Plast Surg. 2016.PubMed 27404467DOI
- Shokri T, Wang W, Cohn JE, et al. Premaxillary Deficiency: Techniques in Augmentation and Reconstruction. Semin Plast Surg. 2020.PubMed 32390776DOI
この記事は、DOY JUN美容外科が海外の学術誌に掲載された論文の要約(抄録)をもとに韓国語でまとめた一般的な健康情報を、翻訳したものです。治療方法や結果は個人の状態によって異なるため、正確な診断と治療計画は専門医へのご相談でご確認ください。




