要点まとめ
どのようにしわをのばすのでしょうか
しわは、真皮が薄くなる変化と、その下にある顔の筋肉の繰り返しの収縮が重なってできます[1]。ボツリヌストキシン(botulinum toxin)は、神経と筋肉が接する部分でアセチルコリンの放出を妨げる神経毒素で、動きすぎている特定の筋肉に少量を注射すると、その筋肉が部分的にゆるみ、上にある皮膚がのびます[1]。
特定の製品名で呼ばれることも多いですが、正確な名前はボツリヌストキシンです。市販されている製品はいくつもあり、コクランのレビューは、製品の種類や用量、施術の回数、治療部位が異なる研究が混ざっていたため、まとめて分析することが難しかったと述べています[2]。
どのようなしわに用いられますか
2014年のレビューの時点で、米国食品医薬品局(FDA)が美容目的で承認していた部位は眉間のしわと目尻のしわで、額の横じわにもよく用いられていました[1]。筋肉が動いたときに見える動的なしわのほうが、何もしていなくても見える静的なしわよりも、効果がはっきりしているとしています[1]。
2023年のナラティブレビューは、眉間、額、目尻、鼻すじ、口のまわりの動的なしわを適応として挙げ、アジア人と白人の注射部位と手技を分けてまとめています[4]。人種や顔の構造によって、注射の計画が変わりうるということです。皮膚の浅い層にごく小さな滴に分けて注射するマイクロドロップレット法も、表情をこわばらせずに小じわを治療する目的で用いられていますが、比較的新しい方法であるため、薄め方、注射量、深さについての知識はまだ不足しています[6]。
効果についての根拠
2021年のコクランのシステマティックレビューは、65件のランダム化比較試験、14,919人の参加者を分析しました[2]。参加者の多くは18〜65歳の女性で、眉間を治療した研究が43件と最も多く、プラセボ(偽薬)と比較した研究が36件でした[2]。
分析の結果、ボツリヌストキシンは治療から4週間以内にしわを減らしたものの、まぶたの下がりのリスクは高まる可能性が高いと結論づけています[2]。効果についての根拠の確実性は高いものから低いものまでさまざまで、副作用についての根拠は非常に低いものから中程度でした[2]。すべての領域でバイアスのリスクが低いと評価された研究は1件もなかったことも、あわせて考える必要があります[2]。
効果はいつあらわれ、どのくらい続きますか
2014年のレビューは、効果が十分にあらわれるまでに約2週間かかり、3〜4か月続くと説明しています[1]。一方、コクランのレビューは、効果の持続期間、何回も繰り返して施術した場合の効果、重い副作用の頻度についての根拠が不足していると指摘しています[2]。持続期間は、筋肉の力、注射の部位、一人ひとりの反応によって差が出ることがあります。
副作用と合併症
軽い内出血が出ることがあり、一時的なまぶたの下がりや眉の下がりはまれで、施術する医師の技術に左右されると説明されています[1]。コクランのレビューで報告された重い副作用は主にまぶたの下がりで、斜視やまぶたの感覚の異常のリスクも知られているとしています[2]。
顔の上部の治療を扱った2022年のレビューは、まぶたや眉の下がり、眉の左右差、ものが二重に見える症状(複視)、目が完全に閉じない症状、下まぶたが外側にめくれる症状、目の下のふくらみが目立つ問題を、主な合併症として挙げています[3]。これを避けるには、解剖についての知識と、額、眉間、目尻の筋肉のパターンに合わせた一人ひとりの計画が必要で、安全な注射の範囲を守れば合併症の可能性を大きく減らせるとしています[3]。
注射の前に確認したいこと
ケロイドができやすい方、重症筋無力症のような神経と筋肉の病気がある方、製品の成分にアレルギーがある方、身体醜形障害がある方には注射を行いません[1]。男性は頭蓋骨が大きく筋肉量が多く、しわがより深い傾向があるため、異なる注射の手技が必要だと説明されています[5]。効果と持続期間には個人差があるため、診察を通して計画を立てることをおすすめします。
- 神経と筋肉の病気、アレルギー、ケロイドの既往
- 治療するしわが動的なしわか、静的なしわか
- 前回の施術の時期とそのときの反応
- まぶたの下がりのような副作用が出たときの対処
よくある質問
- 効果はどのくらい続きますか?
- 効果は約2週間かけてあらわれ、3〜4か月続くと説明されています[1]。ただし、コクランのレビューは、持続期間についての根拠が不足していると指摘しています[2]。人や部位によって差があります。
- まぶたが下がることもありますか?
- コクランのレビューは、ボツリヌストキシンがまぶたの下がりのリスクを高める可能性が高いと結論づけています[2]。一時的なまぶたの下がりはまれで、施術する医師の技術によって起こりにくくなると説明されています[1]。下がりが出た場合は、施術を受けた医療機関にすぐに伝えることをおすすめします。
- 何回も繰り返して注射しても大丈夫ですか?
- コクランのレビューは、何回も繰り返して施術した場合の効果と、重い副作用の頻度についての根拠が不足しているとしています[2]。繰り返す間隔や回数は、前回の反応を見ながら医師と相談して決めることをおすすめします。
参考文献
- Small R. Botulinum toxin injection for facial wrinkles. Am Fam Physician. 2014.PubMed 25077722
- Camargo CP, Xia J, Costa CS, et al. Botulinum toxin type A for facial wrinkles. Cochrane Database Syst Rev. 2021.PubMed 34224576DOI
- Borba A, Matayoshi S, Rodrigues M. Avoiding Complications on the Upper Face Treatment With Botulinum Toxin: A Practical Guide. Aesthetic Plast Surg. 2022.PubMed 34341857DOI
- Hong SO. Cosmetic Treatment Using Botulinum Toxin in the Oral and Maxillofacial Area: A Narrative Review of Esthetic Techniques. Toxins (Basel). 2023.PubMed 36828397DOI
- Keaney T. Male aesthetics. Skin Therapy Lett. 2015.PubMed 25807336
- Kandhari R, Kaur I, Gupta J, et al. Microdroplet Botulinum Toxin: A Review. J Cutan Aesthet Surg. 2022.PubMed 35965899DOI
この記事は、DOY JUN美容外科が海外の学術誌に掲載された論文の要約(抄録)をもとに韓国語でまとめた一般的な健康情報を、翻訳したものです。治療方法や結果は個人の状態によって異なるため、正確な診断と治療計画は専門医へのご相談でご確認ください。