要点まとめ
- 手術後の圧迫着(compression garment)は、腫れ、内出血、痛み、漿液腫を減らす目的で広く用いられていますが、根拠の量と質は、手術の種類や評価の指標によって大きく異なります[1]。
- 2023年のレビューで、比較的根拠がそろっていた使い方は、鼻整形の後の腫れと内出血の軽減、バストとお腹の手術の後の痛みの軽減で、漿液腫を減らす効果は確認されませんでした[1]。
- 腹部形成術の後の圧迫着を扱ったシステマティックレビューは、含まれた試験が5件、130人にとどまり、根拠は弱いと結論づけています[2]。
- 圧迫着には、不快感、静脈の血流のうっ滞の増加、皮膚の損傷といった問題が起こりうるため、利点とあわせて考える必要があります[1]。
- この記事で参考にした資料には、美容目的の脂肪吸引の後の圧迫着を直接試験した研究がないため、着用期間と方法は担当の医療スタッフの案内に従うことをおすすめします。
圧迫着はなぜ着るのですか
脂肪吸引の後には、手術した部位に腫れや内出血が起こることがあります。圧迫着は、手術後の腫れ、内出血、痛み、漿液腫(seroma)を減らして手術の結果を良くする目的で、広く用いられています[1]。
脂肪吸引でよく用いられるチュメセント麻酔は、ごく薄めた局所麻酔薬の液を、組織が硬く張りつめるまで注入する方法です[3]。この方法では、血管の収縮とあわせて、注入した液が組織を押す効果によって出血が減ると説明されています[3]。ただし、これは手術中に注入した液の圧力についての説明であり、手術後の圧迫着の効果を示す根拠ではありません。
しかし、手術後の圧迫着が実際にこうした目的をどの程度果たすのかは、手術によって根拠が異なります。2023年のレビューは、圧迫着が広く用いられているわりに、根拠の量と質、研究結果の一致の程度は、手術と評価の指標によって大きくばらついていたとまとめています[1]。
研究で確認されたことと、不足していること
2023年のレビューは、鼻整形、フェイスリフト、ネックリフト、バストの手術、腹部形成術、腕や脚の輪郭を整える手術など、美容手術の後の圧迫着に関する研究を調べました[1]。最も根拠がそろっていた使い方は、鼻整形の後の腫れと内出血を減らすこと、バストとお腹の手術の後の痛みを減らすことでした[1]。
一方で、漿液腫の発生を減らす効果は確認されませんでした[1]。二の腕のリフト手術のように質の高い根拠が不足している手術も多く、著者らは、圧迫着の使用を批判的に見直し、研究を続けていく必要があると強調しています[1]。
この記事で参考にした論文の要旨には、美容目的の脂肪吸引の後に圧迫着を着たグループと着なかったグループを直接比較した研究はありませんでした。そのため、脂肪吸引の後の圧迫着の効果を数値で示すのは難しいのが現状です。
腹部形成術の研究から見た結果
脂肪吸引と近い部位を扱う腹部形成術(abdominoplasty)の後の、腹帯や圧迫着の効果を扱ったシステマティックレビューがあります[2]。圧迫着は体液の排出を助け、手術した部位に液体がたまるのを防いで漿液腫のリスクを減らすと広く信じられていますが、この分析に含まれた研究は試験5件、患者さん130人だけでした[2]。
分析の結果、圧迫着は漿液腫と皮下のむくみを減らす傾向を示しましたが、統計的に有意ではなく、呼吸機能が低下する傾向も見られましたが、これも有意ではありませんでした[2]。限られた根拠ではあるものの、圧迫着が腹腔内圧(intra-abdominal pressure)を高めるという結果も示されています[2]。
著者らは、腹部形成術の後の腹帯の利点を裏づける根拠は弱く、統一された結果の報告と厳密なランダム化臨床試験が必要だと結論づけています[2]。腹部形成術の結果を、そのまま脂肪吸引に当てはめることはできない点もあわせて覚えておく必要があります。
圧迫着の不快感と副作用
圧迫着の利点は、費用や圧迫によって起こりうる問題とあわせて考える必要があると説明されています[1]。報告されている問題には、患者さんの不快感、静脈の血流のうっ滞(venous stasis)の増加、皮膚の損傷があります[1]。
腹部形成術の研究では、圧迫着が腹腔内圧を高める可能性があるという結果もありました[2]。圧迫着がきつすぎる、息がしにくい、脚がむくむ、痛むといったときは、自己判断でがまんしたり脱いだりするよりも、医療スタッフに伝えることをおすすめします。
リンパ浮腫と脂肪浮腫における圧迫
リンパ浮腫(lymphedema)は、リンパの機能が十分でないために組織が慢性的にむくむ病気で、治療には患者さんへの教育と圧迫が含まれ、手術が行われることはまれです[4]。リンパ浮腫の保存的な治療は圧迫療法で行われ、手術としては、リンパ管と静脈をつなぐ手術や、増えた組織を減らす吸引による脂肪切除術などがあります[4]。
長く続くリンパ浮腫に対する脂肪吸引の治療を扱ったレビューは、脂肪吸引で増えた脂肪組織を取り除いた後、手術後に圧迫着を1日24時間着用し続けることで、減った体積を長期間保つと説明しています[5]。がんの治療に関連したリンパ浮腫でも、圧迫着を含む複合的理学療法(complex decongestive therapy)と間欠的空気圧迫が治療法として用いられています[6]。
脂肪浮腫(lipedema)に関するシステマティックレビューでも、圧迫療法は、食事療法や水中運動とともに、痛みとむくみの軽減に関連していました[7]。ただし、これらの結果は、リンパの機能や脂肪組織に異常がある病気で得られたものです。美容目的の脂肪吸引の後の回復に、同じ方法と期間を当てはめるべきだという根拠ではありません。
着用するときに知っておきたいこと
圧迫着をどのくらいの期間、1日に何時間着るべきかは、この記事で参考にした論文の要旨には、美容目的の脂肪吸引を基準としては示されていません。吸引する部位や量、回復の経過は人それぞれ異なるため、着用期間と方法は、手術を行った医療スタッフの案内に従うことをおすすめします。次の内容をあらかじめ確認しておいてください。
- 圧迫着のサイズと圧迫の強さが体に合っているか
- 着用期間と1日の着用時間、脱いでもよいタイミング
- 皮膚がこすれたり、水ぶくれができたりしたときの対処
- 息がしにくい、脚のむくみや痛みといった症状が出たときの連絡方法
よくある質問
- 圧迫着はどのくらいの期間、着る必要がありますか?
- この記事で参考にした資料には、美容目的の脂肪吸引の後の着用期間を定めた研究はありませんでした。リンパ浮腫の治療のための脂肪吸引では、手術後に1日24時間着用し続けて結果を保つと説明されていますが、これは病気の治療の場合です[5]。美容目的であれば、手術の範囲と回復の経過に合わせて、担当の医療スタッフが案内する期間に従うことをおすすめします。
- 圧迫着を着ると、結果がより良くなりますか?
- 圧迫着の効果は、手術によって根拠が異なります。レビューでは、鼻整形の後の腫れと内出血、バストとお腹の手術の後の痛みについての根拠は比較的そろっていましたが、漿液腫を減らす効果は確認されませんでした[1]。脂肪吸引だけを対象に結果を比較した研究は、この記事の資料にはありませんでした。
- 圧迫着がきつすぎるときは、脱いでもよいですか?
- 圧迫着は、不快感、静脈の血流のうっ滞、皮膚の損傷といった問題を起こすことがあると報告されています[1]。だからといって自己判断で脱いだり、がまんし続けたりするよりも、サイズや圧迫の強さが合っているかを医療スタッフに確認してもらうことをおすすめします。息がしにくい、脚が痛むといったときは、すぐに伝えてください。
参考文献
- Ormseth BH, Livermore NR, Schoenbrunner AR, et al. The Use of Postoperative Compression Garments in Plastic Surgery-Necessary or Not? A Practical Review. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2023.PubMed 37753333DOI
- Arkoubi AY. Effect of Compression Garments on Post-Abdominoplasty Outcomes: A systematic Review of the current Evidence. JPRAS Open. 2024.PubMed 39021663DOI
- Conroy PH, O'Rourke J. Tumescent anaesthesia. Surgeon. 2013.PubMed 23375489DOI
- Maclellan RA, Greene AK. Lymphedema. Semin Pediatr Surg. 2014.PubMed 25241097DOI
- Schaverien MV, Munnoch DA, Brorson H. Liposuction Treatment of Lymphedema. Semin Plast Surg. 2018.PubMed 29636653DOI
- Rockson SG, Keeley V, Kilbreath S, et al. Cancer-associated secondary lymphoedema. Nat Rev Dis Primers. 2019.PubMed 30923312DOI
- Vazirnia A, Smart DR, Mohseni Y, et al. Lipedema Diagnosis, Clinical Manifestations, and Therapeutics: A Systematic Review. Int J Dermatol. 2026.PubMed 41498193DOI
この記事は、DOY JUN美容外科が海外の学術誌に掲載された論文の要約(抄録)をもとに韓国語でまとめた一般的な健康情報を、翻訳したものです。治療方法や結果は個人の状態によって異なるため、正確な診断と治療計画は専門医へのご相談でご確認ください。

