要点まとめ
- 現在の脂肪吸引の技術には、通常の吸引法のほかに、超音波、動力、レーザー、高周波を補助的に用いる方法があり、どの技術を選ぶかは、患者さんの特徴と医師の好みによって決まることが多いといわれています[1]。
- 直接比較した25件の論文を検討したレビューは、いくつかの例外を除けば結果が分かれており、どれかひとつの方法がはっきり優れているとは言いにくいとしています[2]。
- 例外として挙げられたのは、女性化乳房に対する超音波補助、大量に吸引する際にヘモグロビン(血色素)の低下が少ない点、あごの下など一部の部位の皮膚の引き締まりに対するレーザー補助でした[2]。
- レーザー補助の脂肪吸引の利点を報告した研究は、バイアスのリスクが高く、信頼できる結論を出すのは難しいと評価されました[3]。
- レーザー脂肪分解がチュメセント脂肪吸引より優れているという点は、証明されていません[4]。
機器を併用する脂肪吸引とはどのような方法ですか
脂肪吸引(liposuction)は30年以上前に紹介されてから大きく発展し、美容外科でよく行われる手術になりました[1]。吸引装置につないだ細い管(カニューレ)を小さな切開から入れて皮下脂肪を取り出す方法で、全身の肥満ではない方の部分的な脂肪を減らすのに効果的な手術と説明されています[1]。
機器を併用する脂肪吸引は、この基本的な方法にエネルギーや機械的な動きを加えたものです。現在用いられている技術には、通常の吸引法(suction-assisted)、超音波補助(ultrasound-assisted)、動力補助(power-assisted、パワーアシスト)、レーザー補助(laser-assisted)、高周波補助(radiofrequency-assisted)があります[1]。超音波、レーザー、高周波はエネルギーで脂肪組織にはたらきかけ、動力補助は管そのものがすばやく動いて吸引を助ける方法です。どの技術と手技を用いるかは、患者さんの特徴と医師の好みによって決まることが多いといわれています[1]。
通常の脂肪吸引と比べた根拠
2018年のレビューは、9,972件の論文のうち、通常の吸引法と超音波補助またはレーザー補助を直接比較した25件を選んで検討し、企業が資金を提供した論文は除外しました[2]。その結果、超音波補助は女性化乳房(gynecomastia)の治療で、レーザー補助と超音波補助は多くの量を吸引する際にヘモグロビンとヘマトクリット(赤血球容積)の低下が少ないという点で、レーザー補助はあごの下など一部の部位の皮膚の引き締まりで、通常の方法より優れた点がありました[2]。
そのほかの結果は方法によって分かれ、どれかひとつがはっきり優れているとは言いにくく、著者らは、これらの例外を除けば、超音波やレーザーを加えるほどの追加の利点は確認されないと結論づけています[2]。動力補助と高周波補助については、この記事で参考にした論文の要旨に、通常の方法と比較した結果は示されていませんでした。
レーザー補助についてわかっていること
2018年のシステマティックレビューは、80件のうち基準に合う7件を分析し、そのうち5件がレーザー補助の脂肪吸引の利点を報告していました[3]。比較された結果は、組織学的な分析(2件)、皮下脂肪がより多く減ったこと(2件)、皮膚の収縮がより良好だったこと(3件)、患者さんの満足度がより高かったこと(2件)でした[3]。しかし、多くの領域でバイアスのリスク(risk of bias)が高く、より信頼できる結論を出すのは難しいとしています[3]。
2012年のレビューは、レーザー脂肪分解(laser-assisted lipolysis)を、レーザーのエネルギーで脂肪を分解し、止血を助け、新しいコラーゲンの生成を促そうとする方法だと説明しています[4]。19件の論文を検討したところ、レーザーによる方法とチュメセント脂肪吸引を比較した二重盲検ランダム化比較試験は1件で、チュメセント法との客観的な比較は不足しており、レーザーのエネルギー設定も標準化されていませんでした[4]。著者らは、レーザー脂肪分解は安全で効果的だとしながらも、チュメセント脂肪吸引より優れている点は証明されていないとしています[4]。
チュメセント法と脂肪吸引の安全性
チュメセント脂肪吸引(tumescent liposuction)は、局所麻酔薬を含む液を脂肪層に十分に注入してから吸引する方法です。2011年のレビューは、この方法では出血や手術後の異常を最小限に抑えながら多量の脂肪を取り除くことができると説明し、チュメセント麻酔で10万か所を超える体の部位を治療したデータでは、死亡、塞栓、胸腔や腹膜の穿孔といった重い合併症はなかったとまとめています[5]。
一方で同じレビューは、全身麻酔で行った脂肪吸引では、深部静脈血栓や肺塞栓、お腹の臓器の穿孔、感染、出血が報告されており、ヨーロッパのアンケート調査のデータでは、1998~2002年の5年間に脂肪吸引の重い合併症72件、そのうち死亡23件が分析されたとしています[5]。最も多かったのは、壊死性筋膜炎などの細菌感染でした[5]。このレビューは異なる文献のデータを並べたものなので、違いを麻酔の方法だけによるものと断定することはできませんが、脂肪吸引がまれに重い合併症を起こしうる手術であることを示しています。
新しい機器や高精細な輪郭形成を検討するときの注意
筋肉の輪郭を浮かび上がらせるアブドミナルエッチング(abdominal etching)のように、深い層と浅い層の脂肪を分けて整える手技が紹介されていますが、これは著者らの手技を説明した文献です[7]。高精細(ハイデフィニション)な脂肪形成の考え方を、腹部形成術のような切除を伴う手術と組み合わせた経験も報告されていますが、皮膚を切り取る手術が含まれているため、脂肪吸引だけを行う場合とは分けて考える必要があります[8]。
2020年の文献は、手術を伴わない機器や低侵襲の機器が腹部形成術を補ったり、そのかわりに用いられたりすることが増えているものの、経験の不足、評価の分かれる体験談、エネルギーに関連する合併症、誇張されたマーケティング、技術の入れ替わりの速さが、導入の大きな妨げになっていると指摘しています[6]。新しい機器をすすめられたときは、機器の名前よりも、どのような比較研究があるのか、熱による損傷などエネルギーに関連する合併症の可能性はどうかを、あわせて確認することをおすすめします。
回復とカウンセリングで確認したいこと
どの機器を用いても、脂肪吸引の後には腫れや内出血、感覚の変化が起こることがあり、輪郭が不均一に残ることもあります。この記事で参考にした根拠からは、機器を併用する方法で回復が早まるとは言いにくいのが現状です。結果は脂肪の量と分布、皮膚の弾力、手術の範囲によって人それぞれ異なるため、直接診察した専門医と相談して方法を決めることをおすすめします。
- どの機器をなぜ用いるのか、通常の方法と比べた根拠は何か
- 機器の使用に伴う熱による損傷などの追加のリスク
- 皮膚のたるみがある場合に、機器で期待できる範囲
- 手術の範囲、麻酔の方法、回復期間
よくある質問
- レーザー脂肪吸引は、通常の脂肪吸引より効果がありますか?
- レーザー補助の利点を報告した研究はありますが、システマティックレビューは、バイアスのリスクが高く、信頼できる結論を出すのは難しいとしています[3]。チュメセント脂肪吸引より優れている点は証明されていないというレビューもあります[4]。期待できる変化には個人差があります。
- 超音波やレーザーを使うと、皮膚がより引き締まりますか?
- 直接比較した研究を検討したレビューは、あごの下など一部の部位で、レーザー補助が皮膚の引き締まりに利点があったとしています[2]。そのほかの部位では結果が分かれており、はっきりした利点があるとは言いにくい状況です[2]。皮膚が大きくたるんでいる場合は、機器だけでは解決できないことがあります。
- 動力補助の脂肪吸引はどうですか?
- 動力補助は、現在用いられている脂肪吸引の技術のひとつとして紹介されています[1]。ただし、この記事で参考にした論文の要旨には、動力補助を通常の方法と比較した結果はありません。どの方法が合うかは、患者さんの特徴と手術の計画にあわせて、医師と相談して決めます。
参考文献
- Shridharani SM, Broyles JM, Matarasso A. Liposuction devices: technology update. Med Devices (Auckl). 2014.PubMed 25093000DOI
- Collins PS, Moyer KE. Evidence-Based Practice in Liposuction. Ann Plast Surg. 2018.PubMed 29369106DOI
- Pereira-Netto D, Montano-Pedroso JC, Aidar ALES, et al. Laser-Assisted Liposuction (LAL) Versus Traditional Liposuction: Systematic Review. Aesthetic Plast Surg. 2018.PubMed 29362943DOI
- Fakhouri TM, El Tal AK, Abrou AE, et al. Laser-assisted lipolysis: a review. Dermatol Surg. 2012.PubMed 22093156DOI
- Tierney EP, Kouba DJ, Hanke CW. Safety of tumescent and laser-assisted liposuction: review of the literature. J Drugs Dermatol. 2011.PubMed 22134559
- Hurwitz DJ, Wright L. Noninvasive Abdominoplasty. Clin Plast Surg. 2020.PubMed 32448474DOI
- Saad A, Combina LN, Altamirano-Arcos C. Abdominal Etching. Clin Plast Surg. 2020.PubMed 32448476DOI
- Hoyos Ariza AE, Perez Pachon ME. High-Definition Excisional Body Contouring: Mini Lipoabdominoplasty (FIT Mommy) and Enhanced Viability Abdominoplasty. Clin Plast Surg. 2020.PubMed 32448478DOI
この記事は、DOY JUN美容外科が海外の学術誌に掲載された論文の要約(抄録)をもとに韓国語でまとめた一般的な健康情報を、翻訳したものです。治療方法や結果は個人の状態によって異なるため、正確な診断と治療計画は専門医へのご相談でご確認ください。

