要点まとめ
- この記事の根拠はほとんどが太もも内側のリフト手術(medial thighplasty)の研究であるため、太ももの脂肪吸引だけを行った場合の結果の数値はありません。このリフト手術は、大幅に減量した患者さんに特に多く行われています[1]。
- リフト手術に脂肪吸引を加えた場合、全体の合併症の割合は36.75%で、加えなかった場合の70.68%より低かったとする2025年のシステマティックレビューがあります[1]。
- 太もも内側のリフト手術を受けた患者さん447人を集めたレビューでは、42.72%に合併症があり、傷が開くことと漿液腫が最も多く見られました[2]。
- 太い脚がすべて脂肪浮腫(lipedema)というわけではなく、脂肪浮腫はまれな病気であるため、体質的な脚の形、肥満、ほかの原因によるむくみと区別して診断する必要があります[3]。
- セルライトでは、脂肪や真皮よりも線維性隔壁が中心的な役割を果たすという根拠が示されており、脂肪を狙った治療では長続きする改善は期待しにくいという解釈があります[4]。
太ももの脂肪吸引とリフト手術は何が違いますか
太ももが太く見える理由は、皮下脂肪、伸びた皮膚、むくみ、生まれつきの骨格や筋肉などさまざまです。太ももの脂肪吸引(liposuction)は細い管を入れて皮下脂肪を減らす手術で、皮膚を切り取ることはないため、たいていは皮膚の弾力が保たれている場合に検討されます。皮膚が伸びてたるんでいる場合は、余った皮膚を切り取って引き上げる太もも内側のリフト手術もあわせて検討されます。
太もも内側のリフト手術は50年にわたって行われ、さまざまな変化を経てきており、大幅な減量の後の再建手術が増えるにつれて、形成外科の重要な手術のひとつになりました[5]。太もも内側の輪郭を整える手術は、大幅な減量の後や加齢によって生じた変形の形と機能を改善するために、よく希望されます[2]。この記事で参考にした論文の要旨はほとんどがリフト手術を扱ったもので、一般の美容目的で太ももの脂肪吸引だけを行った場合の結果を数値で示した資料は含まれていません。
大幅に減量した後の太もも
2014年の文献は、肥満外科手術の後に体重が大きく減った方の太ももの変形を取り上げ、変形に影響する軟部組織の要因を説明したうえで、手術の対象となる方の選択と見極め、より良い結果を得るための手術の順序を重要な要素として挙げています[6]。こうした場合は、余った皮膚をどう処理するかが計画の中心になります。胴体の下の部分をぐるりと一周切除する手術(belt lipectomy)を扱った2014年の文献は、体格指数(BMI)が高いほど合併症のリスクが高く、結果の満足度は低くなり、低いほどその逆になると説明しています[8]。
大幅な減量を経験した方と、体重の変化がそれほど大きくない方とでは、皮膚の状態、手術の範囲、リスクが異なります。そのため、リフト手術の研究で示された合併症の数値を、一般の美容目的の太ももの脂肪吸引にそのまま当てはめて考えてはいけません。
リフト手術の合併症と脂肪吸引の役割
2015年のレビューは、1988~2015年に発表された16件の研究、患者さん447人を集め、191人(42.72%)に合併症が見られました[2]。最も多かった合併症は傷が開くこと(創離開、wound dehiscence、18.34%)と漿液腫(seroma、8.05%)で、血栓塞栓症や敗血症といった大きな合併症は見られませんでした[2]。手術の方法にかかわらず小さな合併症が高い割合で起きていたため、傷が開く可能性と漿液腫の可能性を、あらかじめ患者さんに伝えるべきだとしています[2]。
2025年のシステマティックレビューは、19件の研究から、脂肪吸引をあわせて行った太もも内側のリフト手術の患者さん1,113人のデータを分析しました[1]。脂肪吸引を加えた場合、全体の合併症の割合は36.75%で、加えなかった場合の70.68%より低く、感染(1.77%対9.02%)、血腫(1.30%対6.77%)、漿液腫(8.95%対24.81%)も低くなっていました[1]。著者らは、脂肪吸引は合併症を減らし、結果を改善すると考えられるとしながらも、手技の標準化とさらなる研究が必要だとしています[1]。
この結果は複数の研究のデータを集めて比較したものなので、患者さんの状態や手術方法の違いが結果に混ざっている可能性があります。また、リフト手術を前提とした数値であるため、脂肪吸引だけを受ける場合のリスクとして読んではいけません。
脚が太く見える原因はさまざまです
2013年の文献は、脚が太いからといってすべてが脂肪浮腫ではなく、脂肪浮腫はとてもまれな病気だと強調しています[3]。脂肪浮腫は、お尻と脚を中心に手足に脂肪が不均衡にたまり、小さな衝撃でも内出血ができ、押したときや何もしなくても痛みが出ることが特徴です[3]。体質的な脚の形、肥満による脂肪の増加、動けないことによるむくみ、慢性静脈不全によるむくみ、リウマチ性疾患などと区別する必要があります[3]。
一方、2021年のレビューは、脂肪浮腫を十分に診断されていない病気ととらえ、痛みが主な症状で、うつや生活の質の低下と関係しているとしています[7]。このレビューは、細いカニューレを用いるチュメセント脂肪吸引(microcannular tumescent liposuction)が脂肪浮腫の患者さんの痛みを大きく減らすという根拠が多いとし、保存的な治療の効果には議論があるとしています[7]。これに対して2013年の文献は、圧迫、リンパマッサージ、運動といった保存的な治療と脂肪吸引を、症状をやわらげる治療として紹介しながら、まだ完治させる治療はないとしています[3]。これは病気の治療に関する内容であるため、美容目的の太ももの脂肪吸引の効果とは分けて考える必要があります。
セルライトは別の問題です
セルライトの原因は、まだ完全には解明されていません[4]。2020年のレビューは、脂肪組織、真皮、線維性隔壁(fibrous septae)を狙った治療の臨床試験を検討しましたが、試験の方法が標準化されておらず、追跡期間も短いため、効果を互いに比べるのは難しかったとしています[4]。それでも、脂肪や真皮を狙った治療の効果が長続きせず一貫していなかったことから、この2つは主な原因ではないと考えられるとし、線維性隔壁が中心的な役割を果たすという臨床的な根拠があるとしています[4]。
回復とカウンセリングで確認したいこと
太ももの脂肪吸引の後には、腫れや内出血、感覚の変化が起こることがあり、輪郭が不均一に残ることもあります。リフト手術をあわせて行うと傷跡が残り、傷が開くことと漿液腫が多い合併症として報告されています[2]。結果や回復期間は、体重の変化、皮膚の弾力、手術の範囲によって人それぞれ異なるため、直接診察した専門医と計画を立てることをおすすめします。
- 太く見える原因が脂肪なのか、皮膚なのか、むくみなのか
- 最近の体重の変化と、今後の体重の予定
- 脂肪吸引だけを行うか、リフト手術もあわせて行うか
- 痛みや、内出血ができやすいといった症状があるかどうか
- 傷跡の位置と、起こりうる合併症
よくある質問
参考文献
- Albanese R, Blessent CGF, Tomaselli F, et al. A Comprehensive Review of Medial Thighplasty: The Role of Liposuction in Reducing Complications and Optimizing Patient Outcomes. J Clin Med. 2025.PubMed 40217874DOI
- Sisti A, Cuomo R, Zerini I, et al. Complications Associated With Medial Thigh Lift: A Comprehensive Literature Review. J Cutan Aesthet Surg. 2015.PubMed 26865783DOI
- Reich-Schupke S, Altmeyer P, Stücker M. Thick legs - not always lipedema. J Dtsch Dermatol Ges. 2013.PubMed 23231593DOI
- Bass LS, Kaminer MS. Insights Into the Pathophysiology of Cellulite: A Review. Dermatol Surg. 2020.PubMed 32976174DOI
- Bertheuil N, Carloni R, De Runz A, et al. Medial thighplasty: Current concepts and practices. Ann Chir Plast Esthet. 2016.PubMed 26433317DOI
- Capella JF. The vertical medial thigh lift. Clin Plast Surg. 2014.PubMed 25283458DOI
- Aksoy H, Karadag AS, Wollina U. Cause and management of lipedema-associated pain. Dermatol Ther. 2021.PubMed 33001552DOI
- Aly A, Mueller M. Circumferential truncal contouring: the belt lipectomy. Clin Plast Surg. 2014.PubMed 25283461DOI
この記事は、DOY JUN美容外科が海外の学術誌に掲載された論文の要約(抄録)をもとに韓国語でまとめた一般的な健康情報を、翻訳したものです。治療方法や結果は個人の状態によって異なるため、正確な診断と治療計画は専門医へのご相談でご確認ください。

